5.ヤバイ!ネタがない?

テーマ:「もののみかたを変えてみませんかPart2」
実施日:2003年11月10日
主催:大阪HEPファイブ商店会
対象:テナント店員 約100人


「川村さん、また大阪にいってください」
担当の宮澤君から電話がかかってきました。
「えー、どこ?HEPファイブ?ついこの前やったばっかじゃん。ネタないよ」
「でも、御指名ですから」
というわけで、6月に講演をしたばかりでしたが、再度お願いしたいという依頼がきました。(リピートっていうのはとても光栄なことです。主催者さん、本当にありがとうございます)。

「で、対象は?」
「この前と同じ」
「へ?おんなじなの?人変わらないの」
「何人かは入れ替わるそうですが、二度目の人もいるらしいです・・・」
・・・そりゃ、マズイ!
そもそも、講演というのは、よくも悪くもほとんどが1回きり。ということは極端な話、1つの話ネタがあれば何とかなるもの(もちろん、毎回テーマにあわせてアレンジしていますが)。しかし、同じ人がまた話を聞くとなると、同じギャクやマジックはできないし、どうしよう・・・。マギー一族の門を叩くか・・・いやそれにはまだ未熟すぎるし(いつもこうした試練を与えられて成長させていだたいてマス、ハイ)。

そうして頭を悩ませ、考えたのが「自分の価値を高めるワークショップ」です。ソニーでワークショップをやったときの経験から、自分が話すだけより、聞いている人が参加できるスタイルのほうが、皆の顔がイキイキするし、自分もこのスタイルが好きなので、これでいこうと決めました。

で当日。二人組で作業をする関係上、机の並びをいつもの研修スタイル(正面に向かって平行に並ぶ)とは違う設定に。正面に向かい、縦に机が並び、その両脇にイスが配置されるという形。これには入ってきた店員さんたちも少しビビッたようで「一体何が始まるだろう」「とって食われるんじゃないか」と表情の固いこと固いこと・・・。やっぱり人間て、どうされるかわからないときってスゴイ不安ですよねー。とりえあえず、氷を張りつめたような冷たさと固さがとれないまま、ワークショップはスタートしました。

 「じゃ、まず目の前の方とご挨拶してください」「・・・・」(大丈夫かな~もう)
「今日はいま一度、自分を別の角度から見直し、新しい可能性を見つけていただきたいと思います」と趣旨を説明。「ではまず、自分の資産の棚卸から。皆さん、これまでの人生の中で、これは楽しかったな、あの仕事は頑張れたな、といった思い出はありませんか。ボクは高校時代に体育祭で応援団長をしたこと、また会社員時代に、本業とは関係ないのに会社案内をつくる仕事などをやったことが、すごく楽しかったです。皆さんにもそんな思い出はありませんか?」

こうして解説をしたあと、「では2,3分時間をとりますので、お手元のワークシートに書き込んでみてください」(お、皆それなりにちゃんと書いてるな・・・なんとかなりそうだ)「では書き終わったら、目の前の方とお互い書いたことを見せ合ってください。はいどうぞ」とやると、ザワザワザワ・・・(ようやく氷が割れてきたぞ)。はじめは初対面のせいもあり、遠慮がちだった会話も、だんだんと盛り上がってきました。これは、昔楽しかった、自分が打ち込めたことを思い出すことで、「自分が本当に好きなこと」「熱中できること」を再確認するためのワークなのです。 「はい、次は自分の長所を書いて見ましょう。いつも店長からこれが足りない、ここが悪いと言われているかもしれませんが、ここではいい面を書いてみましょうね」

 すると、会場のあちこちで苦笑いが。自分で自分を誉めることなんてあまりないのですが、私だったら、「オリジナリティがある、常識にとらわれない、人から信用される」とこんなところでしょうか。(ここは皆さん、埋めるのに苦労されてました) 次のテーマは、5年後の自分です。「皆さん、もし5年後すべてが叶うとしたら、どんな自分でいるでしょうか。仕事、住んでいる場所、家族・・・。自由に、無責任に、勝手にイメージしてそれを書いてみましょう」

 今度は皆さん、一生懸命に机に向かっています。「社長になって、海外を豪遊している」「新しいブランドを立ち上げる」・・・日々忘れかけていた自分の夢がふつふつと沸いてきている様子。日々の仕事に追われ、5年先の自分なんて考えたことがない、って言う人がほとんどですよね。少し立ち止まって自分を見直すいい機会だったようです。

 また「自分だけの肩書きをつけるとしたら?」というセクションでは、「笑顔の宅配人」「元気プロデューサー」「夢の実現コーディネーター」などユニークな肩書きがいくつも出て、私も驚きでした。これは楽しかった。仕事の名刺には「店長」「部長」などと入っていますが、自分だけの肩書きをつけるということは、自分のユニークさを考えるよい刺激になります。
こうして最初はカチコチだった皆さんでしたが、最後にはとても満足顔で会場を後にされました(おーやっぱやってよかったよ)。
 終わったあとの感想を見ても「こんな形で、ほかのショップの方たちと交流できる機会をまたぜひ」「自分と向き合ったことがあまりなかったので新鮮でした」「できるのにやっていないこと、たくさんありました」など、とても熱いメッセージが返ってきました。こうして2度目の講演も、大成功にその幕を閉じたのであります。

ワークショップ形式でするとき、いつも迷うのは「果たしてみなさんがそれに乗ってきてくれるか」ということ。参加者は初対面なのか、年齢はどのくらいか、そういったことに慣れているのか・・・。これらをよくふまえないと、かえって場がしらけてしまったり、「なんでそんなことやらされるんだ」と反感を買うことも。ですから、参加者の顔を見てから、どの程度、皆さんを動かすか、そのさじ加減を決めることも多いものです。幸い、HEPファイブの皆さんはとても積極的に参加してくれて、私としても最高の時間でした。
 終わったあと、ビル内のカフェにて定例の「お茶」をごちそうに。主催の商店会事務局の方々も「とってもよかったね」とご満足いただけたようでした。ぜひ、皆さん、今日見た自分らしさ、価値を大切にして、夢に向かっていってくださいね!
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