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2003年11月

6.やっぱパスタより刺身でしょ!

テーマ:「現実は問題ではない」
実施日:2003年11月21日
主催:兵庫県津名町商工会青年部
対象:青年部メンバー 約20人


そのとき、私はイタリア、ミラノにいました。
ある国際会議で一週間ほどの滞在を終え、いざ日本へ帰国する日の夕方のことです。どこからかこんな声が。
「今日は霧が出てるねえ・・・大丈夫かなあ」
なんと、霧が濃いときには日本からの便が着陸できず、場合によってはローマに降りることもあると言うのです。

 「ええっ、そんな!冗談じゃないっすよ」
 私は日本に帰国した次の日、淡路島、津名での講演を控えていたので、もう気が気でなりません。
「その場合、ローマまでバスで行ってください。まあ、観光ついでに」
と現地ガイド。(?マジかいな・・・)と思いつつ、祈るように空を見上げながら空港着。「頼むぅ~」と神に祈ること数十分。すると「皆様、予定機は無事着陸致しました」とのアナウンスが。どっと歓声が沸き起こる。(ヤッター助かったあ。ホッ)

・・・とまあ、前置きが長くてすいません。そんな経緯で日本帰国の翌日、あわてて新幹線に飛び乗って、一路淡路島の津名を目指したのであります。
 新神戸からバスに乗り換え、一時間ほどで到着。とってものどかないいところ。瀬戸内海が途中、やさしく私を迎えてくれました。バスターミナルで携帯を鳴らすと迎えの方が来てくれて「まずはホテルにどうぞ」と案内される。そこはこじんまりとしたホテルながらも、とっても受付の男性の対応がよかった。「川村さま、まずはお食事をされてください」と食堂に案内される(名前を呼ばれると嬉しいですよね)。するとテーブルにはお刺身、小さい鍋、焼魚等が並んだ、典型的な日本の宿の料理。「やっぱ日本のメシはいいなあ」とパスタ続きだった私は感動。そしてまずはお刺身から箸をつける。「う、ウマイ!」

食事をすませ、会場である商工会議所へと向かう。2階の事務室に通され、名刺交換をしてご挨拶。すぐに3階の会場へと案内される。「今日、もうひとつのイベントと重なってしまいまして20名ほどでなんですが」とのこと。「いえ、全然構わないですよ」と私(かえって少人数のほうがやりとりできたりして楽しいものです)。少し小さめの会議室に会場に入ると、部屋いっぱいに並んだ机にみなさん、お待ちでした。「こんばんは。今日はよろしくお願いします!」と本題に入る。途中のやりとりもとてもなごやかで、なんかとっても楽しかったなあ。皆さんタバコをふかしながらリラックスした雰囲気の中、無事講演は終了しました。

津名の皆さんはとても人が良い。瀬戸内のやさしい気候のせいもあってか、とてもおだやかな印象をうけました。温かみがあり、人間的。東京であくせく働いている私など、心を洗われるような気がしました。  津名は第一次産業(農・林・水産業)に従事されている方が多いそうです。いただいた名刺のご職業も養鶏、お花、石屋さんと多彩。「一度、ここの人達の暮らしぶりをみてみたいなあ」そんな感想を抱きながら会場を後にしました。

翌朝、ホテルの奥さんの自家用車でバスターミナルまで送っていただく。ホテルの前で壁にボールを投げていた小学生くらいの子どもの一緒に乗り込む。こういう家庭的なところが、かえって嬉しかったりするものです。車を降りるとき「またぜひいらしてください」と声をかけてくれた奥さんの言葉が妙に心に染みました。「今度淡路島にくるときは、また津名に来たいな」、そんな思いを胸に、津名を後にしたのでした。

5.ヤバイ!ネタがない?

テーマ:「もののみかたを変えてみませんかPart2」
実施日:2003年11月10日
主催:大阪HEPファイブ商店会
対象:テナント店員 約100人


「川村さん、また大阪にいってください」
担当の宮澤君から電話がかかってきました。
「えー、どこ?HEPファイブ?ついこの前やったばっかじゃん。ネタないよ」
「でも、御指名ですから」
というわけで、6月に講演をしたばかりでしたが、再度お願いしたいという依頼がきました。(リピートっていうのはとても光栄なことです。主催者さん、本当にありがとうございます)。

「で、対象は?」
「この前と同じ」
「へ?おんなじなの?人変わらないの」
「何人かは入れ替わるそうですが、二度目の人もいるらしいです・・・」
・・・そりゃ、マズイ!
そもそも、講演というのは、よくも悪くもほとんどが1回きり。ということは極端な話、1つの話ネタがあれば何とかなるもの(もちろん、毎回テーマにあわせてアレンジしていますが)。しかし、同じ人がまた話を聞くとなると、同じギャクやマジックはできないし、どうしよう・・・。マギー一族の門を叩くか・・・いやそれにはまだ未熟すぎるし(いつもこうした試練を与えられて成長させていだたいてマス、ハイ)。

そうして頭を悩ませ、考えたのが「自分の価値を高めるワークショップ」です。ソニーでワークショップをやったときの経験から、自分が話すだけより、聞いている人が参加できるスタイルのほうが、皆の顔がイキイキするし、自分もこのスタイルが好きなので、これでいこうと決めました。

で当日。二人組で作業をする関係上、机の並びをいつもの研修スタイル(正面に向かって平行に並ぶ)とは違う設定に。正面に向かい、縦に机が並び、その両脇にイスが配置されるという形。これには入ってきた店員さんたちも少しビビッたようで「一体何が始まるだろう」「とって食われるんじゃないか」と表情の固いこと固いこと・・・。やっぱり人間て、どうされるかわからないときってスゴイ不安ですよねー。とりえあえず、氷を張りつめたような冷たさと固さがとれないまま、ワークショップはスタートしました。

 「じゃ、まず目の前の方とご挨拶してください」「・・・・」(大丈夫かな~もう)
「今日はいま一度、自分を別の角度から見直し、新しい可能性を見つけていただきたいと思います」と趣旨を説明。「ではまず、自分の資産の棚卸から。皆さん、これまでの人生の中で、これは楽しかったな、あの仕事は頑張れたな、といった思い出はありませんか。ボクは高校時代に体育祭で応援団長をしたこと、また会社員時代に、本業とは関係ないのに会社案内をつくる仕事などをやったことが、すごく楽しかったです。皆さんにもそんな思い出はありませんか?」

こうして解説をしたあと、「では2,3分時間をとりますので、お手元のワークシートに書き込んでみてください」(お、皆それなりにちゃんと書いてるな・・・なんとかなりそうだ)「では書き終わったら、目の前の方とお互い書いたことを見せ合ってください。はいどうぞ」とやると、ザワザワザワ・・・(ようやく氷が割れてきたぞ)。はじめは初対面のせいもあり、遠慮がちだった会話も、だんだんと盛り上がってきました。これは、昔楽しかった、自分が打ち込めたことを思い出すことで、「自分が本当に好きなこと」「熱中できること」を再確認するためのワークなのです。 「はい、次は自分の長所を書いて見ましょう。いつも店長からこれが足りない、ここが悪いと言われているかもしれませんが、ここではいい面を書いてみましょうね」

 すると、会場のあちこちで苦笑いが。自分で自分を誉めることなんてあまりないのですが、私だったら、「オリジナリティがある、常識にとらわれない、人から信用される」とこんなところでしょうか。(ここは皆さん、埋めるのに苦労されてました) 次のテーマは、5年後の自分です。「皆さん、もし5年後すべてが叶うとしたら、どんな自分でいるでしょうか。仕事、住んでいる場所、家族・・・。自由に、無責任に、勝手にイメージしてそれを書いてみましょう」

 今度は皆さん、一生懸命に机に向かっています。「社長になって、海外を豪遊している」「新しいブランドを立ち上げる」・・・日々忘れかけていた自分の夢がふつふつと沸いてきている様子。日々の仕事に追われ、5年先の自分なんて考えたことがない、って言う人がほとんどですよね。少し立ち止まって自分を見直すいい機会だったようです。

 また「自分だけの肩書きをつけるとしたら?」というセクションでは、「笑顔の宅配人」「元気プロデューサー」「夢の実現コーディネーター」などユニークな肩書きがいくつも出て、私も驚きでした。これは楽しかった。仕事の名刺には「店長」「部長」などと入っていますが、自分だけの肩書きをつけるということは、自分のユニークさを考えるよい刺激になります。
こうして最初はカチコチだった皆さんでしたが、最後にはとても満足顔で会場を後にされました(おーやっぱやってよかったよ)。
 終わったあとの感想を見ても「こんな形で、ほかのショップの方たちと交流できる機会をまたぜひ」「自分と向き合ったことがあまりなかったので新鮮でした」「できるのにやっていないこと、たくさんありました」など、とても熱いメッセージが返ってきました。こうして2度目の講演も、大成功にその幕を閉じたのであります。

ワークショップ形式でするとき、いつも迷うのは「果たしてみなさんがそれに乗ってきてくれるか」ということ。参加者は初対面なのか、年齢はどのくらいか、そういったことに慣れているのか・・・。これらをよくふまえないと、かえって場がしらけてしまったり、「なんでそんなことやらされるんだ」と反感を買うことも。ですから、参加者の顔を見てから、どの程度、皆さんを動かすか、そのさじ加減を決めることも多いものです。幸い、HEPファイブの皆さんはとても積極的に参加してくれて、私としても最高の時間でした。
 終わったあと、ビル内のカフェにて定例の「お茶」をごちそうに。主催の商店会事務局の方々も「とってもよかったね」とご満足いただけたようでした。ぜひ、皆さん、今日見た自分らしさ、価値を大切にして、夢に向かっていってくださいね!

4.川村氏、学園祭にあらわる!

テーマ:「自分の可能性を信じていますか?」
実施日:2003年11月1日
主催:東京電機大学文化祭実行委員会
対象:学生・一般・教諭 30人


文化祭といえば、タレントが来て歌を歌う・・・そんなイメージしかなかった私がなんとその文化祭で講演をすることに。 「こりゃ新しい展開じゃ!」ちょっと楽しみにしながら神保町の駅を降りる私。本日の会場、東京電機大学はビル街の 真ん中に、いくかの敷地、建物にまたがって大学が点在している都市型の大学。 途中で迷いながらも、文化祭らしき蛍光色のパーカーを着た学生さんに導いてもらいながら 会場にたどり着く。

バンドの演奏が鳴り響いている廊下(おー懐かしい雰囲気!)を通り過ぎ、 来賓用の部屋に通される。「どうぞ」ドアを開けると目にまず飛び込んできたのは、テーブル上に整然と並べられた お弁当とおやつ、飲み物。「す、すごい。VIP待遇じゃ」と感激する私。 「のちほど、新聞部のインタビューがありますがよろしいですか?」「ええ、もちろんいいですよ」と 笑顔で答える私。「まず会場を下見してください」と言われ案内されるも、どこをどう曲がったかわからないまま 会場に(迷路のような校舎。とても歴史があるんですよね、きっと)。そこは大学の講堂といった場所で、 舞台の上に演台が用意されていました。(じつは・・・客席と離れて、上からしゃべるのはちょっと苦手なんです)

「電機大学だから、きっとみんな頭いいんだろうなあ」「最初のクイズなんて、簡単に出来てしまうかなあ」 といろいろ不安になる私。 道案内をしてくれた中に、珍しく女の子がいたので(男子生徒がほとんどのようだ)、 彼女をつかまえて「理系なんだ」「男の子にモテるでしょ?」などととりとめのない会話をしながら、控え室に 戻る。「さあ、まずはメシでも食うか」と用意されたお弁当を空ける。(そーいえば準備段階で、”何か お嫌いなものはありますか”とか聞いてくれたことを思い出す。細かいお気遣い、感謝です。ちなみに僕は嫌いなものは ありません)これがまた、うまい!

「あ~腹一杯になったら眠くなるんだよなあ」と思っていたところへ「コンコン」とドアが開く。 「じゃお願いします」いよいよ出番だ。 講堂の裏門から中に入り、いきなり舞台へ上がる。思ったより聴衆は少なく、30名弱くらいか。 学生さんに混じって、ご父兄、それと背広を着た先生らしき姿も。「よし、頑張ろう!」 まずはいつものクイズから。「皆さんならきっとできる人多いかもしれませんが・・・」と前置きした通り、普通の会場よりも 手が上がる率が多かった。

いつもクイズの答を見せてもらいに会場を歩き回るのですが、これがとても楽しい。 答がわかって、手を挙げる人の顔がおもしろい。ちょっと恥ずかしそうな人、誇らしげの人。 「はじめてやってできた?」「はい」「頭柔らかいね」 「ん?これじゃだめ。だって5回曲がってるじゃん」「あっそうか」 こうした聴衆との「からみ」はとても大事。聞く人の温度がわかるから。

学生さんというのは、とても一生懸命話を聞いてくれます。「大学の先生っていうのもいいなあ」と思ってしまったほど。 頂いた感想のレベルもとても高い。 なかには「何を言ってるかわからないが、言いたいことはわかる」というような厳しいお言葉も(そうですね。途中、 抽象的な話もでてくるので、いつもなるべくわかりやすいようにと思うのですが、頭を悩ますところです。ご指摘ありがとう!)。 また講演後に「僕もついこの前まで車椅子だったんです。だから船後さんの話、とてもよくわかりました」って 言ってくれた人もいた。また「こういうの、単位にしたらおもしろいんじゃないですか」と書いてくれた生徒さんもいました。

そうですよね。私も実は、そう思ったんです。講演しようって決めたとき。こういった話、大学じゃ誰も教えてくれなかったけど、 生きていく上ではとても大事ですよね。「もののみかた」「目標設定」「自分らしく生きる方法」などのパンキョウ(一般教養)が あったら、絶対ボクも取ったな。ぜひこんな内容にご理解ある大学の方、いらしたらお声をかけてください(笑)。

文化祭の実行委員の皆様、ありがとうございました。聞くと何日も徹夜状態だったとか。ホント、お疲れ様です。 全体的にとても学生さんらしいすがしがしい対応で、いつの間にか大人になってしまった僕には、はつらつとする時間でした。 「大学っていいな」――また文化祭でやってみたいです。